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カバン制作の教授・ステファノ先生インタビュー!

 

Prof. Stefano(ステファノ教授)
イタリア・フィレンツェ生まれ
40年以上、手縫いのみで革製品を仕上げる熟練職人。フローレンス皮革協会の理事メンバーであり、世界中の革に関するコースでの招待レッスンなどもしている。また、アカデミアリアチ講師として10年以上のキャリアがあり、優秀な革職人を育てるスペシャリストとしても定評がある。
―― アカデミアリアチ カバン制作の教授・ステファノ先生です。
ステファノ こんにちは。
なんだか、教授という言い方は大げさですね
―― いやいや(笑)
本日はよろしくお願いします。
早速インタビューをはじめたいのですが。
まず、どうしてイタリアは革製品で有名だとお考えですか?
ステファノ なめし革の古い伝統があるので、平均的に材料となるイタリアの革のクオリティは非常に高く、「Made in Italy」ブームの到来によって、商業的な面だけでなく、基本となるスタイルやデザインにも良い影響がもたらされたからだと思います。
―― イタリアでレザーアートを学ぶ利点はなんですか?
ステファノ イタリアに住んでいると、まさにイタリアンデザインに囲まれることになります。つまり、通りに出れば必ずクオリティの高い芸術に出会えるということです。
―― 他のイタリアの街と比較して、アカデミアリアチが位置するフィレンツェという街の特徴はなんでしょう?
ステファノ

フィレンツェには特別な伝統があります。
というのも、中世後期、つまり「技巧」の時代とでも呼びましょうか、とにかくこの時代、フィレンツェの革製品に関連する伝統は、今正確には思い出せないのですが、3つか4つの職種に細かく分かれていました。つまり革職人、なめし職人などといったようにです。

このように革工芸という総合的なひとつの業種がさらに細かく枝分かれしていたので、経済的な側面からも非常に重要な職業分野でした。この時代、それぞれの職業技術はひとつの、または複数の家族が祖父から父へ、父から息子へと技術を伝えていったということを理解することも必要です。

―― そして伝統が受け継がれていて、今も息づいているのですね。
ステファノ

そうです。

経済面だけでなく、職人として社会の一員となるという社会的な側面においても非常に重要な意味を持っていました。この「技巧」の時代は、フィレンツェでの生活において、最も華やかな時代のひとつだったかもしれません。

 

アカデミアリアチについて

―― アカデミアリアチではどんな哲学で生徒に接していますか?
ステファノ 私が生徒に教えることはありません。私が何かを教える以上に生徒から学ぶことの方が多いです。
―― では、レッスンをする際に何かメソッドはありますか?レッスンを行う際に一定のカリキュラムのようなものに従っているのでしょうか?
ステファノ

ケース・バイ・ケースです。
最初の授業で私が知りたいことは、生徒がどのような手作業をできるかということです、つまり頭と手がどのように繋がっているかということですね。もし繋がっていなければ、困ります。この場合両者を繋げる必要があります。

そこから私は生徒のアイディアを具体化する手助けをしていきます。私はその際、ひとつの哲学や、柔軟性のない伝統の枠を生徒に押し付けたくはありません。私はその存在が悪いものではないにも関わらず、伝統という表現を使うことをあまり好みません。伝統的なものについて言及するとき、何かとても保守的なものの場合が多いからです。

この職業で注意しなければいけないことは、何世紀にも渡って使われてきた道具を使い、車輪や荷車などを作ることもできますが、その車輪を使ってロケットを作ることもできるということです。

―― ロケット。
ステファノ

うまく説明できているか分かりませんが、伝統的な道具も新しいアイディアを実現するために使われたり、革新的な用い方をされるべきだと思うのです。なので私は生徒たちを伝統というある一定の枠組みに押し込むつもりはありません。それはこの職業にとっても、または生徒にとっても有益なことではないからです。

あらゆる職業は変化していかなければなりません。生徒たちは新しいアイディアを常に持っています。その反面私のような人間は年を取っていくばかりなのですが、若者の可能性を引き出すお手伝いをすることができるのです。

―― 革職人になったり、革製品でビジネスをしたいと思っている生徒に何かアドバイスはありますか?
ステファノ

手を使うことです。
手を使うこと、つまり人間に与えられた最良の道具を使うことです。

その他の道具は、手作業で行う仕事の質をさらに高めるものでしかありません。よって、手が使えるよう鍛錬しなければなりません。ことのことを生徒へは基本として教えます。

頭で考えることを手作業で行えるようになってから初めて実際のものづくりを学び始めることができるのです。
それまでは何もすることはできません。
わたしだって、手を思い通りに動かすことができなければ、何もすることができないのですから。

――

講師として担当されてきたアカデミアリアチの生徒についての印象はいかかですか?

ステファノ

そうですね…。
アカデミアリアチへやってくる生徒たちは、すでに一定の教育を受けていますね。

一般的には、厳しい教育方法を取り入れている学校で学んだ経験のある生徒は平均的にアカデミアリアチのコースにおいても優秀です。
その一方で、社会は教育方法がオープンな国から学び来た生徒たちは、始めはアイディアが豊富なように見えますが、体系的な技術の取得に苦労するようです。

しかし、だからといってこれらの点だけで生徒を評価したいとは思いません。ただ一般的な生徒の印象の違いについて述べただけです。

デザイン学校を卒業している生徒もいます。

しかし問題は、それらの学校ではあらかじめ決められた枠組みに沿ってデザインすることを学んできただけなので、新しいアイディアを持っていないのです。
でなければ新しいアイディアを持つことを恐れているのか、もしくは自分に新しいアイディアがないと思い込んでいるのかもしれません。

また、自分がどのようなカバンを作りたいかという写真を持ってくる人がたまにいるのですが…、それは非常に残念なことです。
というのも、そういった学生はただショーウィンドーに飾ってある何かを真似して作りたいだけだからです。

―― 初心者の生徒にとって、カバンを制作には欠かせないテクニックを学ぶためには、最低どれくらいの期間が必要だと思いますか?
ステファノ

何かを学ぶため、つまり専門技術を取得するには、1週間に5日間、6、7時間集中しなければなりません。
また学習内容が細かく多岐に分かれる場合は、その取得にも本当に長い時間がかかります。

アカデミアリアチに学びに来る生徒は、ただ単に職業技術だけを学んだ後、工房などに職人として決められた仕事をしに行く訳ではありません。
彼らは自分で起業したり、デザイナーになるためにリアチへやってくるのです。

職人になるだけなら、技術を取得するため2・3学べば良いのです。しかしリアチの生徒たちは才能を引き延ばさなければならないので、たくさんのことを学ばなければなりません。

道具の使い方を学ぶだけではなく、材料や材料のクオリティについてのことも知らなければなりません。またカバンについてだけでなく、デザイン、ファッション、どのようにしてある一定の様式が生まれたのかなど、歴史についても学ぶ必要があるのです。

インタビューはこちらで終わりです。
とても物腰が柔らかで、ゆったりとした口調のステファノ先生。
しかしまっすぐな手仕事への姿勢に、さすが、本場イタリアの職人と思いました。
先生、どうもありがとうございました。

ステファノ先生が教えている、アカデミアリアチ校のカバン制作コースでは、
もちろん、革小物、なんでも制作可能です。

日本語通訳付き短期コースから、本格的なアカデミックコースまで多数ご用意しています。
詳しくは資料請求、または説明会参加などで、お気軽にお問い合わせください。

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